
ゾンビとなった子どもたちと、人間の少年。それぞれの過去と現在が交錯する、千年の物語。
※本作では、主人公たちは状況や役割に応じて名前が使い分けられる(例:トキオ/時之進、コニー/路子)。

エピソード1
不登校の妹と、赤ずきんちゃんの幽霊
孤独な少年・純は、学校で「赤ずきんちゃんの幽霊」の噂を耳にする。
クラスメイトに「お前の妹じゃないのか」とからかわれ、憤慨するが――
その夜、純は本当に“それ”と遭遇してしまう。
少女に導かれるまま、山の上の屋敷へ向かう純。
そこにいたのは、夜だけ動く“道化師”の子どもたちだった――。


エピソード2
ひとりぼっちの男の子と、小さな道化師
純は、道化師たちの「本当の姿」を目にする。
彼らはゾンビ――つまり、死者だった。
夜だけ動き、昼になると死体へ戻ってしまう子どもたち。
現実離れしたその光景に戸惑う純の前に、
突如として現れるひとりの女子高生。
彼女は言う。
「山のお屋敷には、“魔法のランプ”がある」と――。


エピソード3
僕は、青い目の少年武士!
純は、ゾンビ道化師トキオに尋ねる。
「どうして、死んだの?」
その答えは、あまりにも簡単だった。
「戦死。」
――そして物語は、幕末へ。
少年武士・櫻時之進。
青い目を持つその子は、異国情緒あふれる箱館の地で育っていた。
その笑顔は、どこか悲しげだった。


エピソード4
12歳の春、箱館に散る
箱館戦争が始まった。
父に置き去りにされた時之進は、
仲間とともに幕臣として出陣する。
そして箱館総攻撃の日、命を落とす。
だがその遺体は、
「不死の油を摂取した子ども」として、敵軍に回収された。


エピソード5
目覚めたらゾンビになってました!
昭和40年、東京。
山の上の月藤邸で、ゾンビ少女・路子は、
箱の中で眠る「女の子」を見つける。
――それは、櫻時之進だった。
戦死から96年。
目を覚ました彼は、ゾンビとなっていた。
その現実を受け入れられず、
悪さばかりして周囲を振り回す時之進。
そんな彼に、路子は言う。
「あんたも、道化師にならない?」


エピソード5.5
眠れる少年兵 〜ランドセルの中の弾丸〜
子どもをゾンビ化させる物質「ネクロフィリン」。
戦場で倒れた少年兵・時之進の遺体は、
やがて「それ」を摂取した特異な存在として扱われる。
そして、長い眠りのはじまり。
月藤邸へ運び込まれるまでを描く、短い番外編。


エピソード6
ゾンビの懺悔
昭和50年。
月藤邸を飛び出した時之進は、
都内の小児科医のもとへ身を寄せる。
やがて、大学病院で子どもの難手術が行われることを知る。
そのとき、彼は言った。
「おれで練習すれば?」
ゾンビである自分の身体を、練習台として差し出す時之進。
『大学病院附属のゾンビ』となった彼が、主治医に打ち明けたこととは――。


エピソード7
からくり洋館を探検せよ!
月藤邸の女主人・幸子が他界する。
彼女が残した、たったひとつの言葉。
「うば車から30歩」
その意味を手がかりに、子どもたちは屋敷の中を探しはじめる。
隠された仕掛け、閉ざされた場所。
長いあいだ守られてきた“秘密”。
そしてついに、
「魔法のランプ」の正体が明らかになる――。


エピソード7.5
中二病の侍と異人トーマス
舞台は、幕末の箱館。
開港前の街を、ひとりの異人が歩いていた。
青い目の青年――トーマス。
その異様な存在は、たちまち捕らえられる。
取り調べを行うのは、奉行所役人・櫻長一郎。
突飛な言動で長一郎を振り回すトーマス。
だがその振る舞いは、次第に人々を惹きつけていく。
やがて、彼が持つ『紫の油』の噂が広まり――。
主人公トキオのルーツを描く、番外編。


エピソード8
星とゾンビと友達と
月藤邸で見つけた古い日記を手がかりに、トキオはアラビアンナイトを読み解いていく。
そこに記されていたのは、
はるか昔に実際に起きた出来事と、『ランプと呼ばれ、搾取されてきた子どもたち』。
やがて彼は、コニーに告げる。
「宿敵の名前は、アラジンだ」
――そのとき、
彼の前に、思いがけない人物が現れる。


エピソード8.5
夢の中のあの子は、決して笑わない
異人の妻・富(トーマス)を失った長一郎は、
混血の息子・時之進と向き合えずにいた。
やがて箱館戦争。
「青い目の少年兵」という噂だけを残し、息子は姿を消す。
長一郎は、その行方を探し続けたが――。
戦中・戦後の箱館、そして晩年の長一郎を描く番外編。


エピソード9
アラジンと楽園の子どもたち
トキオとコニーは、宿敵アラジンと対峙するため、中央アジアへ向かう。
「もうゾンビにさせられる子を、増やしてはならない」
赤い鼻をつけて、風船を手にしたまま。
あまりの光景に、コニーは震えた。
トキオはいつも通りの顔で、彼女の手を握った。
ふたりの道化師は、やがてアラジンと、そして世界を巻き込んだ大きな闇と向き合うことになる――。


エピソード9.5
呪われた双子アラジン
西暦620年。
中央アジア、カリヌタ湖に「紫のオイル」が湧いた。
それから50年後。
生まれながらに、周囲を死へと導く「呪いの子」と呼ばれたふたり。
やがてその存在は、
の物語へと姿を変えていく。
物語のはじまりを描く、短い番外編。


エピソード10
命は一度きりでも、絆は死なない
すべてを終え、日本へ戻ったトキオとコニー。
協力者である病院長は、ふたりにある「プレゼント」を手渡す。
労りの言葉に、彼らは軽く笑って答えた。
「アラジンと遊んできただけ〜」
それでも――。
ふたりは、改めて「自分の死」と向き合う。
傍らには、人間の友人・純。
いつか別れが訪れるその日まで。
彼らは、明日を分かち合う。
