
そのランプは、
願いを叶えるために生まれたんじゃない。

『ランプ』とは、紫のオイルによってゾンビ化した子どもたちのことを指す。
彼らは、死なない身体と引き換えに、「使われる存在」として扱われてきた。
紫のオイルの起源

西暦620年、中央アジアのキシン共和国にある地底湖・カリヌタにて、
未知の物質 『紫のオイル』が湧出した。
この物質は、胎内に取り込まれた場合に限り、死後の肉体を“停止状態から再起動させる”性質を持つ。


アラジンの誕生
オイルの発見から約50年後、双子の姉妹・アラとジンが誕生する。
彼女たちは周囲の人間の死と強く結びついた存在として恐れられ、
やがて「アラジンと魔法のランプ」の原型となる物語へと変質していった。

ランプ計画
紫のオイルの性質が体系化されると、
子どもを意図的にゾンビ化し、利用する「ランプ計画」が始まる。
対象は胎児。
出生前にオイルを摂取させることで、『死後も活動可能な個体』を生み出すことが可能となった。
ゾンビ化するのは全員ではないが、近年は研究の成果によって、ゾンビ化する確率も上がってきているという。
こうして生まれた子どもたちは、商品・労働力・研究対象として扱われるようになる。


ゾンビ化の条件と特徴
・胎内でオイルを摂取していること
・二次性徴前に死亡していること
この2つを満たした場合、死後、時間をかけて肉体が再構成される。
主な特徴として
・昼間は活動停止(死体状態)
・夜間のみ活動可能
・損傷は時間経過で修復される
がある。

ネクロフィリンの発見
紫のオイルに由来する、ゾンビ化物質。
ネクロフィリンという名称は、明治初期の日本において初めて記録・定義されたものである。
紫のオイルによる現象自体はそれ以前から各地に存在していたが、それをひとつの物質として捉え、言語化した例は少なかった。
現在までに判明しているのは、
妊娠中の母体がオイルを摂取し、胎盤を通して胎児へ取り込まれること。
胎児の未発達な代謝環境において、
オイル成分がタンパク質と結びつき、
新たな物質――ネクロフィリンが生成される。
この物質は、生命維持に関わる系(ATP合成系・心筋伝達など)に組み込まれ、
「死後も代謝信号を出し続ける細胞」を生み出すとされる。


ゾンビ化の仕組み
心拍停止の瞬間、ネクロフィリンは活性化する。
それは全身へ、微弱な電位パルスを放つ。
本来は停止するはずの身体に、再び信号が走る。
――この“再起動の衝撃”こそが、
ゾンビ化の正体である。


バグ個体と危険度
一部の個体は、通常の挙動から逸脱した性質を示す。
これらは「バグ個体」と呼ばれ、特に危険性の高いものは等級化される。

危険度SS個体
稀にみる『危険個体』とされているのが、櫻 時之進。
幕末に戦死した少年兵。
高い知性と戦闘能力を持つ個体。他の『ランプ』と異なり、明確な自我と判断力を保持している。
そのため、指示への従属性が低く、行動の予測および制御が困難とされる。
当該個体は、状況次第で極めて高い危険性を示す可能性があり、最上位危険個体(SS)として記録されている。

まとめ
ランプは、願いを叶える存在ではない。
その願いのために、消費され続けてきた存在である。
