もう一つのアラジン

むかしむかし、アラジンという貧しい少年が、母親と小さな家で暮らしておりました。

古代アジアの親子。家の前に立つアラジン少年と母。

ある日、どこからかやってきた男が

『お前の叔父だ』

と名乗りました。

古代アジアのアラジン少年と、彼に話しかける男性。

男はアラジンに言いました。

「洞窟の奥に古いランプがある。体の細い子どもでなければ取れない。どうか取ってきておくれ。」

魔法のランプがあるという洞窟

アラジンが狭い入口をくぐると、確かに古いランプが置かれていました。

ランプを掴んで出ようとすると、外では叔父が大声で叫んでいました。

洞窟の中でランプを持つアラジン

「早くしろ!急ぐんだ!」

その声は、怒っているようでもあり、何かを恐れているようでもありました。

アラジンは思わず後ずさりして、洞窟の奥に戻ってしまいました。

怒鳴る男と、洞窟の中のアラジン

すると叔父は表情をゆがめ、入口を石でふさいでしまいました。

アラジンは暗い洞窟のなかで泣きました。

男と、洞窟の中のアラジン

けれど、ふと、手に持った古いランプを『こすってみよう』と思いました。

魔法のランプを持つアラジン少年の手

すると、白い煙があがり、目の前に不思議なものが現れました。

「なんでも望みを叶えましょう。」

ランプの精が出てくる

アラジンが

「ここから出して!」

と言うと、あっという間に家の前に戻っていました。

アラジンの家

それからアラジンは、ランプの力で願いを次々と叶え、ついには王女さまと結婚しました。

中華とアラビア風が混じったお城の前にいる、アラジンと王女

ある日、かつての叔父が現れ、ランプを奪おうとしましたが、王女とアラジンの力で追い返すことができました。

怒る叔父とアラジン、王女

幸せな日々が、ずっと続くと思われました。

……ところが、ある夜。

アラジンは、誰にも知られないまま、ふっと姿を消してしまったのです。

お城と星空

どこを探しても、もうどこにもアラジンの姿はありませんでした。

けれどもその日から、ランプのあかりは、以前より強く、長く、ゆらめくようになりました。

まるで、小さな子どもが、何かをささやいているかのように。

魔法のランプから出る光

人々は、いつしかこう言うようになりました。

「アラジンは、自分が『ともしび』になったのだ」と。

天の川銀河を見上げる人々のシルエット

アラジンは、自分が『ランプの精』となり、〝願いを叶える側〟となったのです。