
むかしむかし、アラジンという貧しい少年が、母親と小さな家で暮らしておりました。

ある日、どこからかやってきた男が
『お前の叔父だ』
と名乗りました。

男はアラジンに言いました。
「洞窟の奥に古いランプがある。体の細い子どもでなければ取れない。どうか取ってきておくれ。」

アラジンが狭い入口をくぐると、確かに古いランプが置かれていました。
ランプを掴んで出ようとすると、外では叔父が大声で叫んでいました。

「早くしろ!急ぐんだ!」
その声は、怒っているようでもあり、何かを恐れているようでもありました。
アラジンは思わず後ずさりして、洞窟の奥に戻ってしまいました。

すると叔父は表情をゆがめ、入口を石でふさいでしまいました。
アラジンは暗い洞窟のなかで泣きました。

けれど、ふと、手に持った古いランプを『こすってみよう』と思いました。

すると、白い煙があがり、目の前に不思議なものが現れました。
「なんでも望みを叶えましょう。」

アラジンが
「ここから出して!」
と言うと、あっという間に家の前に戻っていました。

それからアラジンは、ランプの力で願いを次々と叶え、ついには王女さまと結婚しました。

ある日、かつての叔父が現れ、ランプを奪おうとしましたが、王女とアラジンの力で追い返すことができました。

幸せな日々が、ずっと続くと思われました。
……ところが、ある夜。
アラジンは、誰にも知られないまま、ふっと姿を消してしまったのです。

どこを探しても、もうどこにもアラジンの姿はありませんでした。
けれどもその日から、ランプのあかりは、以前より強く、長く、ゆらめくようになりました。
まるで、小さな子どもが、何かをささやいているかのように。

人々は、いつしかこう言うようになりました。
「アラジンは、自分が『ともしび』になったのだ」と。

アラジンは、自分が『ランプの精』となり、〝願いを叶える側〟となったのです。